●コロガシは本当に得か?コロガシとは最初は少ない掛け金からスタートして、的中したらその払い戻しの金額をそのまま次のレースにつぎ込み、これを何回か繰り返して大きな利益を得ようというもの。 例えば、1000円でスタートして単勝3倍の馬券を3回連続で当てた場合をみてみよう。 1000円→ 3000円 3000円→ 9000円 9000円→27000円 たった1000円で27000円の払い戻しを受けとることができる。 転がしの場合、スタートが1000円だから外れても損するのは1000円だけと考えることで、 その後の3000円、9000円という普段は絶対に買わないような馬券を購入することが出来るようになる。 ただし、コロガシが成功する確率は転がせば転がすほど低くなる。 なかには馬券は転がし以外に投資にはなりえないという者もいる。 馬券生活者の木下健氏はコロガシを実践しており、成果を上げているようだ。 しかし氏の「最強の法則」の連載の中で、転がしを始めてもすぐにやめてしまう人が多いという記述を見たことがある。 私も、競馬を始めたころ複勝コロガシにはまったことがあるが、1ヶ月ぐらいでやめてしまった。 いったいなぜだろう? そもそも本当に転がしは得なのだろうか? それを検証したのが下表だ。 ここでは、3倍の馬券を4回に1回的中させる回収率75%の平均的な競馬ファンで検証した。初期投資金額は1000円とした。 1番左の欄で“1○2○3×失敗”とは1レース目は的中し、2レース目も的中、 しかし3レース目で外してしまいコロガシに失敗したことを表している。 その場合の出現確率は1/4×1/4×3/4=3/64=0.0469(4.7%)で、 総投資額は1000円+3000円+9000円=13000円 総回収額は3000円+9000円=12000円 これらに出現確率を掛ければ、投資と回収の期待値が算出される。 これを各々の場合で計算し、合計すると、 コロガシ1回当たりの総投資額期待値(平均値)2312.5円 コロガシ1回当たりの総回収額期待値(平均値)1734.4円 となる。 よって回収率期待値は、 回収率=1734.4円÷2312.5円=0.75(75%) つまり、コロガシをやろうがやるまいが回収率は75%のまま変わらないということである。 通常の回収率と変わらないのに、購入金額は大きくなってしまう。 また、コロガシが成功する確率は低くなってしまうのでは、一般の人々がすぐに止めてしまうのも無理はない。 以上はJRAに対して、いくら馬券を買っていくらの払い戻しがあるかの回収率の検証であるが、 通常コロガシをやる者は合計でいくら馬券を購入したかはほとんど気にしない。 彼らが考える1回のコロガシに対する投資総額はあくまでも1000円なのである。 では、投資金額が最初の1000円だけとみなした場合の回収率期待値(以後、コロガシ回収率期待値と呼ぶ)を計算してみよう。 これは、1000円で的中確率が1/4×1/4×1/4=1/64、 オッズが3×3×3=27の馬券を買うのと同じ事である。 その期待値は1/64×27=0.42(42%) という結果となる。 つまり、対JRAの回収率期待値は75%で変わらないが、コロガシ回収率期待値は、このケースでは大幅に下がってしまうのである。 一般的に、平均的中確率をP、平均的中オッズをO、コロガシ回数をNとした場合、 コロガシ回収率=PのN乗×OのN乗=(P×O)のN乗 となる。 P×Oが通常の馬券購入の回収率であるから、コロガシ回収率期待値は通常の回収率のN乗とういうことになる。 つまり、回収率が1(100%)以上なら転がせば転がすほど、コロガシ回収率期待値は上がっていくが、 逆に、回収率が1(100%)以下なら転がせば転がすほど、コロガシ回収率期待値は下がってしまうのである。 このことからも、馬券生活者である木下氏はコロガシを採用し、一般ピーポーはすぐに止めてしまうことも説明する事が出来る。 ■■■まとめ■■■ 1.コロガシはメンタルな要因で通常購入よりも投資金額を増やしやすい。 2.JRAに対しての回収率は、コロガシをやろうがやるまいが変わらない。 (ただし通常、購入合計金額が大きくなるので勝つも負けるもその規模は大きくなる。) 3.初期投資金額に対しての回収率は、通常の回収率のN乗。 つまり、普通に馬券を購入して回収率が1以上の人は、ますます回収率を上げることが出来るが、 逆に1以下の人はますます回収率が下がってしまう。 ジャンル別一覧
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